【梅花春月】 唇
 

梅花春月

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明治
容堂視点 殿木戸





紅く、露に濡れたように艶かしい。
吐き出される吐息は湿っぽく、妙に色めいて欲を唆った。

まるで女のようだ、と思い、否そこいらの女よりも余程、と思い直す。
肌はしっとりと汗ばみ、均整のとれた肢体は若く瑞々しいというわけでもないのに掌に吸い付いてくる。
浅く吐く息の中に掠れた短い音を紡ぎつつ、身悶えるようにして快楽を甘受している姿は男娼すら顔を背けるだろうと唇の端を僅かに上げた。
途端にきゅうと繋がっていた場所を締め付けられ危うく気を遣りそうになるのを、眉間に皺を寄せ、グッと腹に力を込めて耐える。
どうにか押し沈めて目蓋を上げれば、赤く上気した顔に色香を漂わせながら此方を睨み付けている松菊と目が合った。

「…何事か、私を軽視するような事をお考えになられたでしょう?」
「何の話じゃ」
「私が、気付かぬとでも?」

普段は仰々しいまでに体裁を整える癖、伽の中では不機嫌を隠そうともしない。
そういうところが面白い男だと思いながら、機嫌を取るように唇を吸った。

「ふ、このような事で、誤魔化されたりなど…んっ」
「別に誤魔化すつもりはないがの」
「は、ぁ…っん、ぅ」

舌先で浅く口内を擽りながら歯列をなぞり、やがて深く音を立てて舌の奥から啜ってやれば甘く蕩けた声が唇の合間から零れ落ちる。
ぼたぼたと松菊の唇の端から溢れた唾液は鎖骨へ落ちそこから胸元へと垂れていく。
それを指先で掬うようにしながら濡れた指先で胸の飾りを摘まみ上げた。
びくり、腰が跳ねる。
その反応が気に入り、唇を合わせたまま胸元を虐めていると、松菊はもぞもぞと切なそうに腰を揺らめかせた。
喉の奥で笑いそうになるのを堪えながら口吸いを止め、未だ繋がったままの下肢は少しも動かさず、胸元を虐めていた手を離して蜜を零しながら天を仰いでいる松菊のそれをピンと爪先で弾いた。
あんっ、と甲高い声を上げて喉を反らせる、その晒された喉仏に舌を這わす。

「あ…ぁ、よ、ど…さま」
「何じゃ」
「ふ…っぅ、も、もう…っは、ん」
「もう、何じゃ」

堪えきれずにクックッと笑えば、恨めしそうに涙に潤んだ瞳が睨み付けてきた。

「あ…ぅ、分かって、おられる癖に…」
「さぁ、分からんのう」

意地悪、と思わずといった風に松菊は零す。
ほう、儂は意地悪か、とそれこそ意地の悪い顔で問えば、松菊は自分の発した言葉にしまったというような顔をした。
距離を離し、腰を引いてずるりと繋がっていたものを引き抜くと、いやいやと首を振る。
内心可笑しくて笑い出しそうになりながら、汗で額に張り付いた髪を掬い、そのまま優しい手つきで頭を撫でた。

「意地の悪いことをしてすまなんだな。もうなんちゃあせんき」
「いや…っ、違、容堂様」
「嫌? 何が嫌じゃ、松菊?」
「そ、れは…」

言葉に詰まり、顔を俯かせる。
ふるふると長い睫毛を震わせるのが純情な生娘のようで妙に愛らしく見えた。
どうすればこの先を思うよう進めてもらえるかを熱に侵された思考で巡らせているのだろう。
切なく疼く腹奥と浅ましくひくつく後孔を持て余しながら。

僅かな沈黙の後、松菊、と甘やかに呼べば、期待に濡れた瞳が見上げてきた。
ふっと微笑し頬を撫で、何事か言おうとする唇を指先で擽る。
蕩けそうな松菊の瞳に映る、意地悪く笑う自身に自分のことながら少し呆れつつ、松菊の体が求めるものは与えずに、ただ柔らかに唇を合わせた。




end




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Date:2016/04/03
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2016/04/03 【】  # 

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